介護をするうえで困る事例の一つに、骨折の問題が挙げられる。高齢者は、歩いていて何かにつまづいてしまったり、立ち上がろうとした際にふらついてそのまま倒れてしまい、足や手の骨が折れてしまうということが起こるのだ。
こういうことがあると、怪我をさせたくないから一人で歩かないようにとか、なるべく座っていて、ということが言われるようになる。勿論、怪我をしないためにそれはそれで必要なのかもしれないが、一方で、ご本人は歩きたいのに歩けない、座っていれば、なお歩けなくなるという当然の思いがある。
また、足の力が弱くなったからリハビリをしましょうといって訓練を始め、医師やリハビリの担当者たちとの多職種での話し合いでも方向性が決まり、ご本人も頑張って歩こうという気持ちになっても、いざ日常生活でとなるとご家族が反対しソファーで座る生活を余儀なくされているようなこともあるのだ。
確かに四六時中そばにいて歩きたい時に付き添いができるわけではないのだが、最近では立ち上がったら音や光で知らせてくれたり、携帯電話に連絡がきたりと様々な便利なツールが登場している。勿論、ツールはあくまでも一つの手段にすぎないので、その道具をいかに使いこなすかが介護者の腕の見せ所だ。
どういう時に立ち上がろうとするのか、あとどれ位経ったらトイレかな?などなど……多職種での意見も参考に生活習慣を日記にしたり介護記録からグラフにして行動を把握しようとしたり、さまざまな工夫を凝らしてみるのも介護のやりがいの一つに繋がってくるのだ。